第35回 オリックスバファローズ 岡田 貴弘選手 2009年08月19日
2005年夏、高校野球界の注目は大阪に集まっていた。
「浪速四天王」
辻内崇伸 大阪桐蔭-巨人)、鶴直人( 近大附-阪神)、平田良介( 大阪桐蔭-中日)、岡田貴弘( 履正社 -オリックス)の4名の総称である。その年、彼らは大阪の高校野球だけでなく高校球界の注目のスターであった。そして4人とも高校生ドラフト1位でプロの門をたたくのである。
今回の独占インタビューは現在、プロの世界で必死に頑張る4人を取材。高校時代から現在までを語ってもらった。
岡田貴弘選手 インタビュー
氏原(以下「氏」) 先日、1年目以来の一軍昇格を果たしました。今は2軍ですが、久々の一軍はいかがでしたか?(※取材時は6月末)
岡田選手(以下「岡」) 最初の2試合は緊張ばっかりで、打席に立っても、気付いたら追い込まれていてという感じでした。何がなんだかよく分からない状態で、最初の2試合は終わっていったんですけど、2試合目にヒットが出たんで、阪神戦からはある程度、落ち着いてできたかなと思います。
「氏」 一軍で通じた部分、まだまだだなって思った部分、両面あったのではないですか?
「岡」 そうですね。なんていうか、手も足も出ずに終わってしまうっていう感じは、自分の中ではなかったんですよ。自分の状態も、絶好調で一軍に上がったのではないんで、その中で、2戦目以降落ち着いてできたのはプラスでしたし、特に(二軍に)落ちる前二週くらいっていうのは、打席の中でつかめたものもありました。もう少し上にいたら、打てたかは分かんないですけど、違った結果になっていたかなと、感じれるものはありました。
「氏」 それは今になって、生かされているのかな?
「岡」 落ちてから、ずっと今まで、いい感じで打てているので、また、一軍に上げてもらえれば、今回みたいに緊張してとか、そんなことはないと思うんで、また上にあがってやりたいですね。
「氏」 むしろ、つかんだことの方が多かった、と?
「岡」 そうですね、バッティングコーチと話をしながら、悪いことはなかったということも、最後の時には言われていたんでね、つかんだものはありました。
「氏」 さて、今年で4年目になりましたけど、この3年はどんなプロ生活でしたか?
「岡」 1年目から試合に出してもらっていたんで、その中で、いろいろ初めての経験ばかりで、一軍の経験もさしてもらいましたし、いい1年間だったと思います。けど、2年目・3年目というのは思ったバッティングができずに、考えすぎたりしていました。この2年間は、自分の形がないまま終わってしまったという感じでしたね。
「氏」 形がないというのは、それはフォームのこと、野球選手としてのスタイルのことですか?
「岡」 フォームもですし、メンタル的にも自分で弱いなっていうのを感じていました。でも、そういうのを自分で見つけられたのが大きかった。そういうことがあったから、今年、いい結果につながってきたと思うので、時間はかかりましたけど、いい経験はできていると思います。
「氏」 今シーズンのはじめかな?キャンプ・オープン戦の頃だったと思うんだけど、TVで岡田君を見た時に表情が変わってきたなぁって感じたんだけど?なにかきっかけはあったのかな?
「岡」 そうですね。1年目のオフ、2年目のオフと、自分独りで自主トレをやったりしていたんですけど、自分に甘い部分があったんです。それで3年目のオフは後藤さんに誘ってもらって、練習を一緒にさせていただいたんです。後藤さん、体が強いんですよね。どういう練習しているのかを見たかったですし、どういう鍛え方してるのかというのもありました。練習自体はすごくきつくて、ヤバかったんですけど、でも、その分、追い込めましたし、バッティングに関しても一緒に打っていて、1軍の選手を間近で見て、いい勉強になりました。
「氏」 それはすごい経験ですね?
「岡」 はい。秋のキャンプからも、後藤さんは話しながら、見てくれていたんで、注意してくれましたし、いい自主トレができたんで、それも自信になりました。メンタル的にも、ちょっと、考え込みすぎるタイプなんで、その辺は、今年は変えて、打てなくてもしょうがないかなみたいな、開き直るっていい意味なのか分からないんですけど、深く考えずに、反省するところは反省してやっているので、自分でも違うなって感じるようになりました。
「氏」 シーズンは最初から好調でしたね?ウェスタンでホームラン、打ちまくっていたよね?
「岡」 去年5本でした。ことしは1ケ月で9本。昨年秋から取り組んでいることが、オフでも継続できて、春のキャンプでもできて、自分のものになってきている感じはあります。それが安定した結果にもなってきていると思います。
「氏」 続けていることとは具体的にはどういうことですか?
「岡」 体幹の使い方ですね。昨年秋のフェニックスリーグから藤井コーチに教えていただいて、体幹をしっかり使ってバッティングするっていうのをやってきて、バッティングの取り組み方も変わりましたし、飛距離もだいぶ伸びるようになったんで、それはすごい自分に合っているのかなぁというのもありますね。
「氏」 高校の時は、足を上げたり色々、やっていたと思うけど、その辺の変化はありますか?
「岡」 プロに入ってからも、ちょくちょくフォームが変わって、これっていったフォームがなかなか見つからなかったんですよね。藤井さんが体幹の勉強をされたらしくて、それをチームでやっているみたいな感じなんですけど、それが今、僕にはうまくはまっています。
「氏」 高校の時は確か、足を上げて、ボールをぶつけるっていってたけど、その辺りのこだわりはどう変化しましたか?
「岡」 高校生レベルでは、その打ち方で打てたかもしれないですけど、プロになって、スピード・キレ、変化球も違うので、考え方が変わりましたね。
「氏」 プロで足を上げるのは苦しい?
「岡」 1軍の投手になると、クイックとか速いんで、タイミングを合わせようと思っても、差し込まれてしまうことが多いんです。
「氏」 高校の時の話を聞きたいんだけれど、高校の時にね、「浪速の四天王」って僕らメディアは言っていたんやけれど、それは知っていた?
「岡」 知っていました。嫌ではなかったですし、全員プロに行きましたし、ちょうどよかったです。
「氏」 他の3人を意識しましたか?
「岡」 そうですね。まぁ、平田・辻内は甲子園に出て活躍していたんで、いいなぁとは思っていましたけど、自分はともかく、3人ともプロに行くやろうなって思っていたんで、先のことを考えると、プロで注目さきる選手になりたいと、その時は思っていました。
「氏」 今になっても3人への意識はありますか?
「岡」 そんなにあるわけではないですよ。鶴はプロで対戦していますし、平田も同じリーグなので、顔合わして、話はするんですけど、しょうもないことばっかりしか話ませんね(笑)。
「氏」 辻内はともかく、鶴は昨年、デビューしていて、平田もサヨナラ本塁打とか打っていたけど、それを見て何か感じました?
「岡」 いい刺激にはなりますし、やっぱり同級生対決っていうんすかね、そういうのには負けたくないっていうのはありますよね。
「氏」 ことしの4月に、大学4年生の取材に行ったら、高校時代の話になって「僕らの世代は一個上のダルビッシュとか、一個下の田中とかみたいに、突出したのがプロに出てきていないので、出てほしい」っていっていたんだよね。その点はいかがですかね?
「岡」 そういわれてみれば、これっていうのはいてませんよね。銀仁朗(西武)とかもそうですよね、一軍で注目される選手となると、難しいですね。何かきっかけがあれば、だと思うんですけど。
「氏」 自分が引っ張るとかは、思わないですか?
「岡」 自分がって言うより、やっぱり、早く一軍で活躍したいっていうのは、誰もがみんな思っていると思いますよ。
「氏」 でも、高校時代、岡田君の世代はすごかったでしょ?
「岡」 すごかったですね。神村学園の投手、野上(西武)も同い年ですよね。1回やって、ボロボロにやられたのを覚えています。川端(ヤクルト)には、この前、東京に行った時に、会いました。(片山、枡田は?)なんだかんだ、上にはいますけどね、これっていうのはいないっすよね(苦笑)。
「氏」 オリックスっていうチームを見ても、将来を考えると、坂口、小瀬、大引とか出てきていて、彼らと同じように若手の野手が引っ張ってい行かないといけないのでは?
「岡」 そうですね。坂口さん、小瀬さんとか、自分も早くその中に入りたいなって言うのはあります。
「氏」 ホームランへのこだわりはまだありますか?
「岡」 ありますし、今年は飛距離が出てきたんですけど、今はまず確実性を求めてやっています。
「氏」 今目指している方向性はだいぶ上にあるでしょう?
「岡」 はい。ことし、たとえ、このまま上に呼ばれなかったとしても、自分では、とにかく下で30本塁打を打つって藤井コーチといっているんですよね。ウェスタンの記録を作るぞみたいな。上がれば、定着目指して頑張りますし、上がれなかったら、ここでの目標は持ってやってますね。
「氏」 高校時代にやっていて、これやってよかったなと思うことはありますか?
「岡」 毎日、練習が終わってからもバットを振っていたので、素ぶりはバッティングの基本だと思いますからそれは自分のためになっていると思います。それと、高校時代、履正社の教え方には日常生活も野球に結びつくとずっと言われてきたんで、そこは今も自分の習慣にもなっているんで、力になっています。
「氏」 日常生活では例えばどんなことをしているんですか?
「岡」 いい加減にやらないことですね。「履正の野球」はきっちりしているじゃないっすか。いい加減なことをしていたら、プレーもいい加減になる、と。基本的なことなんですけど、グラウンドに落ちている葉っぱやゴミは拾う。道具を大切にするとか、挨拶はしっかりするとか。基本的なことばっかりなんですけどね。それは今も続けていますね。
「氏」 これから目指すのはどんなバッターですか?どういう自分を見て欲しいですか?
「岡」 ホームランバッターなので、ホームランを見てほしいのもありますけど、チャンスに強いバッターになりたいですね。
「氏」 高校の時に、滞空時間の長いホームランが気持ちがいいっていう話してたけど、その辺は?
「岡」 今も滞空時間の長いホームランが出ているんで、飛距離も出てきていますし、しっかり当たったら、飛んでいくとは思います。そういうところも見てもらえたら、うれしいです。
「氏」 岡田選手にとって、高校野球とは?
「岡」 しんどかったですけど、自分の今の原点ともいえるところなので、高校野球では失敗したと思ってなくて、むしろ成功したと思っています。いい高校生活を送れたと思う。
「氏」 最後の夏は思い出す?
「岡」 思い出しますね、負けた桐蔭戦は特に。なかなか、打てなくて苦しかったですし。でも、最後の打席でホームランを打てたのは気持ち良かったです。ちょうど55号でしたし、中田(日ハム)から打ちました(笑)。
「氏」 浪速の四天王一人として、今後への思いはありますか?
「岡」 平田が上で活躍しているんで、それに続き、追い越せれるように頑張りたいです。
「氏」 高校球児に一言?間もなく、夏を迎える彼らにメッセージをお願いします。
「岡」 甲子園に出ていないので、偉そうなことは言えないですけど、高校野球をやっているからには野球に掛けていると思う。野球が好きで、上手くなろうと思ったら、努力すると思うんで、野球が好きとか、楽しいっていう気持ちを、いつまでも忘れずにやってほしいですね。
インタビュー:氏原 英明
【編集後記】
取材時は6月末。2軍での充実ぶりを話してくれました。そして2軍で、HRを量産。打率295 本塁打21 打点59 と文句のない成績を残し1軍に再昇格。現在、1軍で2HRと結果を残しています。今後どんなスラッガーになっていくのか、楽しみですね。頑張れナニワのゴジラ!
- 岡田貴弘選手
- 生年月日:1988年02月09日
- 出身地:大阪府
- 履正社
高校通算本塁打は55本。ナニワのゴジラと呼ばれ注目を集める。また3年夏は平田良介、辻内崇伸、中田翔らを配する大阪桐蔭高校と大阪大会準決勝で対戦。敗れたものの、中田翔から9回表にバックスクリーンへの3ラン本塁打を放った。 - 2005年オリックスバファローズに高校生ドラフト1位で入団

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