インタビュー


第40回 中央大学硬式野球部 中村尚史選手 2009年12月18日


第40回独占インタビューは来年より中央大学からインディアンスに入団。メジャーリーグを目指す、中村選手です。
中央大学といえば、156キロ右腕・沢村君(佐野日大)・山崎君(芝浦工大附)の2枚看板。読者の方は武蔵工大付属の中村選手と言った方がピンと来るかもしれません。

中央大学で4年間、自分の野球を自問自答しながらメジャーにスカウトされるまでに成長した、中村選手。
高校時代、大学時代そしてメジャーについて、今回はメンタルトレーナー高畑氏と一緒にお話を伺ってきました。


高校・大学時代

スタッフ(以下「ス」) 高校時代は勉強と野球を両立していましたか?

中村選手(以下「中」) もはや勉強の方が中心でした。高校の時(武蔵工大付属・現 都市大付)は、部活がはっきり言って週3回しかありませんでした。中学生と一緒のグランドなんで。週3回しかないのに塾で休んで、週2とかもありましたよ(笑) 雨が降ったら練習は休みだし、冬休みは練習ないし。
でも、週3だったからこそというのはおかしいですけど、早く野球をしたいという気持ちはありました。1日空くので、変化球の本を読んで、はやく(変化球を)試したいと思ったり。そういう楽しさは高校の時にありました。

「ス」 高校時代に自身の進路についてどんなことを考えていました?

「中」 高校の時からラジオ関係の仕事がやりたくて、ずっと高校時代もそっちの勉強していました。大学もそういう方面に行こうと思っていました。正直、大学で野球をやれると思っていませんでした。
ただ、たまたま早稲田実業との練習試合でノーヒットノーランを達成してしまい、それがきっかけで中大から話が来ました。来た時は、めちゃくちゃうれしかったですね。

「ス」 なるほど。それで野球の道を選んだんですね。

「中」 そういう話もらって、もしかしたら、小さいころになりたかったプロ野球選手の夢を叶えられるかもしれないと思いました。勉強なんて実際野球終わってからでもできるけど、野球は今しかできないから、いまは野球をやるしかないと。

高畑氏(以下「高」) 大学では、いままでと周りの環境が違ったのでは?

「中」 大学入った当初は練習もきつかった。上下関係も高校ではあまりなかったですし。体重も最初81kgだったが、68kgまで落ちました。

「高」 周りの選手はいわゆる野球エリート。意識のずれなど感じました?

「中」 それはありましたね。やはり、高校で甲子園出て、活躍した選手もいますし、周りと取り組みの姿勢が違って、自分もこういうふうにならないといけないと思って、かなり悩みました。4年間野球についていろいろ考えたが、やはりスタンスが違う。

「高」 スタンスとは?

「ス」 周りは本当に野球に夢中になっていて、でも自分は野球のことだけをずっと考えていられないというか、これもやりたい、あれもやりたいというふうになるんです。4年間そのことで悩み続けました。

「高」 個人的には、そんなにガツガツ野球やれば、うまくなるってわけでもないと思います。いい意味での遊び心を持ちながら、野球をやったほうがいいですよね。野球以外のことからでも、応用できる事はいろいろあると思います。そう考えると、高校時代の環境がよかったのかもしれないですよ。

「中」 そうですね。高校時代があったから、今があるかもしれないですね。純粋に野球を楽しんでいましたから。高校の時は、プロの試合とか、雑誌で変化球の握り方とかを見てほぼ独学で研究していました。

「高」 普段、他の選手のプレーを見たりは?

「中」 しますね。相手のピッチャー見て、いいところがあったら、吸収するようにしています。

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メジャー挑戦

「ス」 いよいよメジャーに挑戦しますね。大学時代の総括も踏まえて、どういう風にプレーしていきたいですか?

「中」 大学時代は、正直、内面的に外に出せなかったものがあって、勝っても負けてもフラストレーションが溜まっていた部分もある。アメリカに行ったら、環境も変わるし、考え方も変わると思うので、自分を出していけるようにしたいです。

「ス」 さまざまな人種の選手がいるので、いろいろな考え方に触れることができますしね。

「中」 そうですね。先ほども言ったように、大学時代、自分は周りとは浮いている存在でした。野球についての考えも違うし。悩みましたが、それはそれでいろいろ考えられたのでよかったかなと。高校まで考える事なんてありませんでしたからね。

「高」 考えすぎは良くないですけど、考えなくなったらそこで終わりだと思いますから。野球以外の遊びでも、人間関係でも考えることが大事。

「ス」 今は渡米に向け、どんなトレーニングをしていますか?

「中」 筋力が弱いので、腹筋などの筋トレが中心ですね。あとはキャッチボールとか。

「ス」 自分のどこでMLBに勝負していくと考えていますか?

「中」 身長(194cm)ならアメリカでは対して大きい方ではないと思うんですよ。でも、自信があるのは、体の柔らかさ。おかげで怪我もあまりしないです。あと、変化球のコントロール。中大には速球派の投手が多く、どうやったら試合に出れるか考えたときに、変化球のコントロールしかないと思ったんですよ。

「ス」 では、大学時代の練習はやはり変化球練習が主体?

「中」 そうです。(変化球の)種類は多かったけど、カウントをとれなかったので、ずっと練習で変化球ばかり投げて、変化球でカウントをとれるまで練習しました。そうすると、試合には出れるようになりましたね。

「ス」 大学に入って球種も増えたという話も聞いたことがあります。

「中」 高校の時はストレートで通用したが、大学では違いました。変化球がなかったら試合には出れなかったと思うし。チームに澤村選手や山崎選手といった速い球を投げるピッチャーもいて、どうしたらいいのか考えました。キャッチャーにいろいろ聞いて、「変化球のキレは一番お前がいいよ」とか言われたので、あとは変化球のコントロールを重視して練習してました。

「ス」 メディアでは、194cmの長身から149km/hのボールを投げると話題になり、そればかり先行していますが、実は変化球が得意なんですね?

「中」 自分では変化球ピッチャーだと思っているので。ストレートも微妙に変化するんですね。それも自分の特徴だと思ってます。

「ス」 それはいい武器になりますね。

「中」 小学生の時、はじめに監督さんに教わったストレートの握りが、大学入ってから気がついたんですけど、実はツーシームの握りでした(笑)。いまは普通のストレートも投げれますが。でもその投げ方でも自然に投げてるから、いい球いくんですよ。

「高」 例えば、スピードを上げようというテーマがあった時に、2つにやり方があると思います。1つは筋トレで筋力アップして球速を上げようとするやり方、もう1つは自分のいまある素材で、からだの使い方を上手く意識して、スピードを上げていこうとするやり方、この2つのうちどちらですかね?

「中」 後者ですね。ウエイトをやりすぎると、変に力んでしまう。高校までウエイトやってなくて、大学入って初めて先輩にアドバイスされてやりましたけど、投げるときも力む癖がついちゃいますね。あまり好きではないです。

「高」 人間はどうしても、強靭な体を手に入れたら、身体の使い方とか全く考えずに、パワーに頼ってしまう。これはあまり良くないですよね。銃を持ったら銃を撃ちたくなるのと同じです。ウェイトを否定するわけでは全くありませんが、手に入れた肉体の使い方が重要ですよね。

「ス」 最後に、メジャーに挑戦するにあたっての抱負はありますか?

「中」 やるからにはメジャー目指して。活躍できるように頑張るというか、楽しんでやってきます。小さい時に野茂選手を見て、違う人種の選手たちと野球をやっていることに衝撃を受けました。それに今自分が挑戦できるというのが、幸せです。

「高」 僕は結果を出すことも大事ですが、せっかくアメリカでプレーできるので楽しんできてほしいと思います。

「中」 スカウトからも楽しく野球やれば大丈夫と言われました。メジャーに行くのが今から楽しみです。

「ス」 ありがとうございました。 

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取材後記

自主トレの合間に時間をとっていただき、今回のインタビューとなりました。 
当日、中村選手はインタビューの待ち合わせ場所まで走っての登場。
インタビュー中、汗をぬぐいながらも、にこやかに我々の質問に応えてくれた中村選手。
興味の対象が広く、知的好奇心が旺盛な青年です。
野球の後はやはり、大好きなラジオの世界に挑戦したいと語ってくれました。
来年から世界中の文化圏から選手が集まる環境でどんな化学変化が起きるでしょうか。
楽しみですね。

プロフィール

中村尚史選手
  • 生年月日:1988年1月3日
  • 出身地:東京都
  • 武蔵工大付属高校
    高校時代より140キロ中盤のストレートを投げる本格派右腕として注目を集める。
    最後の夏は東東京2回戦で敗退
  • 2006年中央大学に進学
  • 2009年インディアンスと契約
    2010年よりメジャーを目指す。
中村尚史選手
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